2009年1月 はし (もともとは串だったと思われる)

 
箸はもともと一本の細い棒、くし(串)だった。くしを中心で曲げ、ピンセットのようにして使ったのが最初の箸だった。つまり、くしの両端を使ったからはし(箸)である。その意味でははし(箸)と、くし(串)の語源は同じといっていいだろう。

江戸時代には、はしといえば割り箸だった。一回使っただけで捨てた。これは箸の霊力信仰と無関係ではない。自分の使った箸を他人が使うと、その箸を伝わって災いが他人に及ぶと考えたのである。

正月に歳神様に供えた箸を、後で水田の水口に立てたり、雪の日にその箸を焼いて雪除けにしたりするのは、箸の霊力を信じていたからである。この信仰は駅弁などを食べた後、箸を折る習慣として現在引き継がれている。

ところで、正月には普段使っている箸ではなく、中央が太くなっている柳箸を使う。これは、正月だから新しい物をおろすという意味の他に、柳箸が折れにくいからである。正月早々箸が折れたのでは縁起が悪いと考えられた。