2015年2月今月の電材ニュース

国立極地研究所において、人工衛星や南極域・北極域からの
観測データを解析する「極域科学コンピューターシステム」が稼働開始

従来システム比で、解析時間を約4分の1に短縮し、解析精度を約8倍に向上

株式会社日立製作所(執行役社長兼COO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所(所長:白石 和行/以下、極地研)における、人工衛星や南極域・北極域の観測地から送信される膨大な観測データの解析を行うための研究用システム「極域科学コンピュー ターシステム(以下、本システム)」の構築を完了しました。極地研は、2月1日から本システムの稼働を開始します。
本システムは、日立のスーパーテクニカルサーバ「SR24000シリーズ」を中核として、従来システム比約5.6倍となる合計40.4TFLOPS*1の総合理論演算性能*2、従来システム比約6.5倍のデータ転送速度を実現し、観測データの解析時間を約4分の1に短縮します。また、総メモリ容量を従来システム比約9.3倍の18.5TB*3に増強したことで、解析に利用する観測データ量を大幅に拡大し、解析精度を約8倍に向上しました。

近年、人工衛星での広域観測や観測技術・データ転送技術の向上により、日々生成される観測データはます ます増加しています。極地研は、観測により得られる大量のデータに対し、より短期間で高精度な解析を実現するために従来の研究用システムを刷新し、演算性 能を大幅に向上した本システムを新たに導入しました。本システムは、例えば、地球環境に大きな影響を及ぼす南極域・北極域における気候・海洋変動のメカニ ズムを解明する研究に活用され、地球における将来的な気候変動の予測に寄与することが期待できます。また、オーロラ現象と太陽風*4による磁気圏変動の因果関係など、宇宙空間の環境変化を解明する地球磁気圏物理分野の研究にも活用されます。
なお、本システムは、極地研に所属する研究者のほか、極地研と共同研究を行う大学や関連研究機関に所属する全国の研究者に共同利用されます。

本システムは、観測データを解析する演算ノード*5に、大規模なシミュレーションを超高速に実行できる「SR24000モデルXP1」を74ノード採用し、合計40.4TFLOPSの総合理論演算性能を有しています。また、自然界に近いシミュレーション解析に必要となる物理乱数*6を 演算する物理乱数ノードには、「SR24000モデルXP2」を1ノード採用しています。また、ユニファイドストレージ「Hitachi Unified Storage 100 シリーズ」を採用し、合計約210TBのストレージ環境を実現しているほか、日立独自の分散共有ファイルシステム「Hitachi Striping File System」を採用し、高速なデータ転送によって複数ノードによる並列処理の高速化を実現しています。これらにより、膨大な観測データをこれまで以上に 高速かつ高精度に解析できるほか、解析結果のデータを十分に格納できる環境を実現しています。

*1
TFLOPS(テラフロップス):浮動小数点演算を1秒間に1兆回実行する能力。
*2
総合理論演算性能:同時に動作可能な全ての演算器が動作したときの理論上の性能。
*3
TB(テラバイト):約1兆バイト。
*4
太陽風:太陽から太陽系空間に放出される極めて高温で電離した粒子(プラズマ)のこと。
*5
ノード:システムを構成する独立した演算処理単位で、サーバを意味します。
*6
物理乱数:さまざまな物理現象から生成される周期性の無い乱数のこと。

本システムの概要図

[画像]本システムの概要図

本システムの外観

[画像]本システムの外観

国立極地研究所について

極地研は、「極地に関する科学の総合研究と極地観測を行う」ことを目的に、1973年に創設され、 2004年に大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構を構成する研究所の一つとして発足しました。宙空圏、気水圏、地圏、生物圏および極地工学の5分野において、基盤研究、共同研究を 行うとともに、総合研究大学院大学の基盤機関として大学院教育を行う一方、南極観測をはじめ、北極観測の中核的機関として各種業務の推進に参画していま す。
南北両極域の自然環境を中心に、広範な地球環境を視野に据えた研究所教員による研究のほか、大学共同利用機関の重要な役割の一つとして、全国の研究者からの応募による「共同研究」を行い、さらに、諸外国の研究者との共同研究などを推進しています。